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慌てるな

米国大統領選挙とワクチンのニュース発表後の幸福感は、次の「刺激」のもとを待っている間に、今週金融市場にとって一定の静寂へと姿を変えたしたようだ。今年これまでに世界経済に実際に起こった、または起こっていることをみると、現在の金融市場の「平穏さ」は、驚くべき妙技である。

最近発見された金融の平穏について夢中になる前に、まだ完結していない、米国大統領選挙の状況をみてみよう。まずは、米国大統領選挙が通常どのように行われるのかの要点からだ。

  1. 11月上旬に選挙が開催される。
  2. 投票は両党からの選挙管理人の立ち合いのもと票集計される。
  3. 開票に選挙管理人が立ち合い、不正への正統な非難やソフトウエアの欠陥などがない場合、票集計が裁定される。
  4. 勝者と敗者の得票差が0.5%以下の場合は、票の再集計がなされる。
  5. 候補者間の得票差が0.5%以上の場合、集計結果に異議がある場合、各州につき300万ドルを払って票の再集計を求めることができる。
  6. 再集計が終了または再集計が必要ない場合、それぞれの州が、エレクトラルカレッジ(選挙人団)の投票がおこなわれる12月14日までに正式な勝者を発表する。
  7. その後、翌年1月上旬に議会が開かれ、投票の集計が行われ、実際の勝者が宣言される。
  8. 新大統領は1月20日に就任となる。.

以上の過程をとりあげたメディアはあっただろうか?

答えはノー。どんなにメディアが総出をあげて努力しても、勝者を決定する権限はないということだ。 

ここオーストラリアにおいても、左派よりのABCリンチ団が彼らの理にかなうあらゆる道徳の語りを売りつけることは想定内だが、その他のメディアまでも?ニュースコーポレーション、セブン、ナイン、オーストラリアンファイナンシャルレビュー、などなど・・・また我々が何かを見逃しているのだろうか?どこからみても下手にポピュリズムを売るジャーナリズム、またはそれ以下にしか思えない。

トランプが(不)人気のターゲットであることは非常に理解しやすい。全くの品のなさ、2016年の選挙公約をなにも守れなかったことが関係したのかもしれない。しかし、縮小傾向の中、大権力を選ぶのに二つの劣等な選択肢しかなかったのは2016年だ。2016同様、「世論調査」が見事に外れだったということは注目すべきだろう。

現状では、バイデンは次期大統領ではなく、このブログを書いている(11月20日)時点では、勝敗の鍵を握る州は、エレクトラルカレッジ票の勝者をまだ発表していない。これは単に事実であり、メディアにはどうにもできないことだ。

通常の選挙とは違い、事実をことさら述べる必要がある。そして、色々なふるまいがあるようだから、結果が近差で、選挙詐欺の告発があるという理由で、ヒステリーを無視しようという傾向があり(何を望もうとも)、どう転ぶのか目をみはろう。

もっと詳しく掘り上げていくこともできるが、「ツイッター団」にキャンセルされたくない。それにこれは経済コメントのブログであるから、ここまでにしておこう。一つ確実に言えることは、アメリカで誰が権力を握ったとしても、以下の予算構造は変わらないということだ。 

ここに表しているのは、たかが1ヶ月のもの。

2020年度の予測がこれだ。

Source: TTMYGH

先へ進もう。最近のワクチンのニュース発表のタイミングは皮肉に思った人はいるだろうか。金融市場はそうは思わなかったようだ。まるで誰かが「さあ、みんな舵をきりなおそう」と叫ぶかのようである。エネルギー株は急上昇、エアライン、旅行業界、そして特に健康医療関連、すべてが月まで届くかのようだ。

金の下落(2%)、国債の叩き売り(利率が上昇)、すべてファイザーのワクチンのニュースを受けて起こり、続けてさらに計算高いモデルナのワクチンのニュースが今週発表された。興味深いことに、ファイザーのニュース発表は、同社のCEOであるアルバート・ボウラが、保有する株式の65%を、ニュース発表と同じ日に売却するほど好材料だったということだ。なるほど。少なくとも、貧弱な世論だ。ボウラ博士の売却が予示するように、この90%有効なワクチンが浸透するにはしばらくかかる。

そういった中、アメリカとヨーロッパ(オーストラリアも?)では、経済への影響の懸念があるにもかかわらず、ロックダウンが再びやってきた。すでに見てきたように、確固としたロックダウンの経済的・社会的影響は、関係ないとみられているようだ。本当にそうだろうか?以下にみられる分岐は先行きをみるのに効果的だとされてきた。どちらかが正しいということだろう。

コロナ禍の経済的影響が、耐え忍ぶに十分でないとでもいうかのように、地球温暖化問題に関して、ここ数週間で息を合わせたかのように声だかになっている。声はあらゆるところから来ているようだ。我々がどんな局面に立っている可能性があるのかを知っておくために、徳とされるヨーロッパの地球温暖化対策キャンペーンについて説明しておこう。

ヨーロッパのグリーンニューディール

欧州委員会によって 組織された グリーンニューディールは、3つの大きな目的をもつ。:

  • 温暖化ガスの排出量を2050年までに廃止する
  • 資源と経済成長を分断する
  • いかなる人、場所をも取り残さない

現在の経済状況において、この、またはその他いかなる「グリーン」政策を経済的に支えるのかは、不思議ではない。何もないところから創造される新しいデジタルマネーだ。早くても来年4月までワクチンがない状況にあるコロナ経済とともに、地球温暖化問題を満たすために必要とされる、法的紙幣創造の莫大な量は、全く気が遠くなる。

これが重大な結果を招くことなく施行できると思うのは、全くのお伽話であり、運は備ができている投資家に味方をするだろう。 うまく分散型をとり、備のできている投資家。 ここで目が行くのが非常に保有率の低い貴金属市場だろう。

表向き、金鉱会社にとってここ数週は最悪だ。米ドルが安定しているにもかかわらずに、だ。このことについて、グローバル経済が「固定」時期にある時には、いつも決まって起こることを知っている人は驚かないとは思うが。金鉱株を保有している人は、2012年から2018年にかけての事情がトラウマとなって、かなりの心配性であり、いつでも売りボタンを押す準備ができている。また買い時を通過しているのか?

Source: EurozHartleys

現実は、今日の世界が直面している、経済的、地政学的、金融的リスクは、現存知る限りのいかなるもの同等に大きい。さらに多くの金融アナリストが、インフレとシステミックリスクを懸念して、ゴールドマンサックスが最近更新した金価格予想に加わることが予想できる。

我々やその他いくらかの人が吹き替えた「限りない量的緩和」は、金融「メディア」が実際の金融リスクを完全に分析できず、中央銀行を「救世主」として応援し続けている状況において、無謀にみえることはないだろう。

ごく最近、英国銀行は量的緩和(QE)の「刺激」政策をさらに1500億ボンド押し上げた・これは、中央銀行が、コロナウイルス とそれに伴うロックダウンを利用して、脆弱な国債やその他の資産を購入するために、さらなる通貨創造を正当化するものであり、余剰予算を支えるものである。

いつものことだ!

地球を救おう!

カウントダウン

さあ2020年10月の最終週がはじまった!

パイプを下ってくることを知りつつ、次の「刺激」策を待っている間、市場が水を踏んでいる新たな週のはじまり。そうでなかったとしても、MOAB(Mother of all bubbles)から空気をだしてやることは心配しなくていい。

2020年後半の米国大統領選挙が、メルボルンカップと同じ日、11月3日に開催されるというのは適切なように思えるし 勝者を選ぶのは同じくらい難しいと感じる。

2020年という年は、Covidが「青信号」を示し、あらゆるすべての非伝統的な財政および金融政策が、通常政策として、 政治のあらゆる側面によって行われた。.

政治のあらゆる側面という意味は、現在政権を握るオーストラリアの保守党内閣までもが、「左派」である野党労働党が羨むほどの財政支出、赤字、債務政策をとったのだ。

そして現在アメリカでは、「最新」の財政刺激策は、(さらなる)数兆ドル規模で行われる予定が、わずか2000億ドルを超えるという論議で停滞している。

これはすべて、ポピュリストの「現代貨幣理論家」が深刻な勢いを増しているのと同様に起こっている。財政抑制の名残のあらゆる類似点を取り除くことが主な目的となっているようだ。今週、彼らの筆頭チアリーダーであるステファニー・ケルトン教授の話を(マクロボイス・ポッドキャストの出演を通して)聞いたあと、彼らの目的は達成するだろうと思った。彼女には非常に説得力がある。

このMMT論者たちによると、これまでにおこなわれた貨幣発行の問題点はその規模であり、さらに具体的には「規模」の欠如であるという!十分な貨幣の供給がないため「刺激」がたりないというように。あらゆる官僚にとってなんとも魅力的な提案である。

では、彼らが米連銀と欧州中央銀行の政策構築の回廊に入ると、可能だと思っていた以上に想像力が広げられる。政府は、重大影響を引き起こすことなく、どれほどの通貨発行が可能なのだろうか。我々はもうすぐ知ることになるだろう。これについては今後数週間にわたって見ていきたい。

前に述べたように、重要なのは米国で誰が勝つかということではなく、金融の見解から重要な点は、今のところ、米国債が現在の金融システムの「基盤」を占めているということである。

今のところ、世界のGDPに対して米国経済が占める割合について覚えていくことが大切だ。以下に示されている。 

世界銀行の統計によると、米国は世界人口の4%を占めている一方、24.42%のGDPを占めている。 

残念ながら、見るに耐えないが、米国における経済的およびイデオロギー的な社会的格差は、現在は和解には至らないように見える。 

米国大統領選挙で誰が勝利するかという金融政策の結果は、投資家のポートフォリオにはほとんど関係ない。重要なのは、1944年のブレントンウッズ以来、我々が知る金融システムが、その最後のイニングにあるということを認識することである。

このことを、見るに耐え難く、和解に至らないように見える、米国の社会的・経済的な格差に加えると、心配を促す読み物になる。

投資家は、財政の安定を脅かす状況から自らを鍛えることを強く勧められる。 また、それに関連して世界の中央銀行が現状維持のために行う対応策から身を守るためにも。

重要なリスクを認識することは不可欠である。MMT論者によって「管理可能」として切り捨てられている重要なリスクのひとつは、インフレである。どこからきてどこに行くのかまで、インフレをコントロールできるという、前述のケルトン教授の自信は際立っている。ただ、過去に行われたことはない。 

一部の中央銀行はインフレについての警告を出している。たとえばオーストラリア準備銀行(RBA)は、数週間前に以下のように述べている。「完全雇用に向けての進展がみられ、インフレが2〜3%の目標範囲内で維持できると確信できるまで、キャッシュレート目標を引き上げない」 

では、金利がほぼ0%で、インフレがX+(なんにしろ彼らが掲げるように)、あるいはなんらかの生活費の上昇がみられるということ?3%+はOKなのだろうか?

どのように対応策を立てるというのだろうか?このような背景から、資産配分について真剣に考える時が来たといえる。

別のフェーズに移行したのだ。

特にニュージーランドとオーストラリアの慈悲深い中央銀行からの非常に一貫したメッセージは、我々は政府債務がいかに少ないかを心配すべきで、直ちに増やすべきだということだ。不安を感じている人のために、RBAは以下のチャートを今月初めのプレゼンテーションで使用した。我々は「追いつくために」まだまだやることがある。つまり、日本に追いつくためには、という意味である。

過去6ヶ月間をみて、何もせず、人々の銀行口座に直接お金を注入してもマイナス面はみられないということがわかった。MMTが非常に人気があるのも不思議ではない。

上記の全ての「背景」を踏まえても、金を所有している投資家がいかに少ないかというのは驚くべきである。まして、収益性が高く低コストの金産出会社はいうまでもない。

金が、何らかの形で、この金融システムの基盤に戻る可能性について今後数週間で触れることになるかもしれない。

いまのところ、我々が世界の金融システムの画期的な変化の玄関口に立っていることは、誰の目にも明らかだといっても過言ではないだろう。偉大なケインズ派実験は失敗している。既存の世界的な債務を返済するために必要な金銭的成長が、もはやシステム自体を満たす能力を超えている。別の言い方をすれば、世界の中央銀行は、現在、恒久的に、追加の法定通貨を継続的かつ迅速に作るということが、唯一、急激に増える債務という獣を養うことができるという流儀にある。

元IMFのマネージングディレクターで、欧州中央銀行の現プレジデントであるマダム・クリスティーン・オデット・ラガーデ女史は、これら全てのことについてなんというだろうか? 

配分不足

どうやら、今まで同様の週明けとなりそうだ。全ての関心は中央銀行に向いている。

レトリックはいつも同じ。「資産市場でバブルが存在するとは思わないが、存在のしないバブルに、現在の全ての空気をさらに空気を送り込んで入れ替えるために、考えられるあらゆる便宜を尽くす」

前代未聞の規模の通貨発行という用立ては以下のチャートが示す通り。

米連銀が先週発表したように、低金利の保証は、いつまで、 いつまで、 まるで永遠のことのようだ。オーストラリアでさえ、金利はすでにマイナスと言えるだろう。

「バブルは存在しない」というものの、情深い政府の恩恵による新札を使い、週末のスポーツ賭博での賭け事にから株式市場への投機へと流れていった、新しいタイプの投機家を生み出すはめになった。

この新しいタイプの「投資家」のイメージキャラクターとして知られるデーブ・ポートノイ(写真)のプロフィールをみれば以上のことは明らかだろう。なんとも、この男は最近かなり「イケてる」らしく、アメリカ大統領とも面会したという。

問題は、狂ったような自己肯定感とかなりのレベレッジによって、おそらく今頃いくらかの痛みを感じていることだろう。しかし、彼は大丈夫だと確信している。なぜなら「株は必ず上昇するもの」で「下げた時は買い時」というのが、過去約12年間の安定した戦略なのだから。

さて、ここにきて話は面白くなってくる。デーブが気づいているか否かはわからないが、彼の全ての投資戦略は、ヨーロッパ、日本、米国の中央銀行が、日本とスイスの中央銀行の通貨発行を模倣として、(存在しないとされる)資産バブルを続けていくことに完璧に依存している。

以下のチャートをみて、我々はいつも暗いニュースばかり発信していると嘆かないでほしい。まだまだ先はあるように「みえる」ではないか。

Source: Grant Williams, TTMYGH

さらにいえば、これらの中央銀行のたくらみは、国内のニュース配信ソースから公表されるビジネスニュースからは程遠いように見えるが、現在存在する金融システムは米ドルをグローバル基準通貨とすることで成り立っている。それこそがなぜ一番重要なのかという理由である。

かくして、米国債が、第2時世界大戦後に始まったこの現在のシステムの根底にある。1971年に金と米ドルの「基準」をアメリカが廃止したように。

このシステムにとって最も大きく迫っている問題は、「通常」と比べても、また通貨との関連からしても、アメリカ財政の危機的な状況である。

米ドル保守のための「綺麗なもっとも汚いシャツ」という見解を論じる人は、同様に他に実行可能な方法がないからこのシステムを変えることができないという論議をする者である。後者の論議には全く賛成だが、前者はそうでもない。

以下、米国予算の軌道が読み取れるだろう。

ここに、あらゆるアセットクラスに付随するデリバティブがもつ京の単位のものを加えたらどうなるか・・・。心配いらない、すべては差し引きとなる。

「オイルマネー」の基準通貨としての米ドルの価値が、特にテック関連の上昇を傍目に、徐々に弱まっていることをみると、アセットマネージャーやプライベート投資家がかなりの資産を、地銀や金鉱株などの金資産に投資するのにここまで長い時がかかったというのは驚きだ。多くの個人投資家が貴金属投資に未だETFを使っているというのもおもしろい。

そうといっても、多くのアナリストによると、全ての投資資産における金の割合というのは、現在は0.4〜0.5%だそうで、過去数十年の平均とされる5%や多い時は10%の年が数年続くという状況と比べるとかなり低い。

この興味深い数字は、 マークファーバーの最新の分析にみられる以下のチャートが示している。

世界のファミリーオフィスの戦略的資産配分2019年

UBS, Campden Global Wealthより

So, even professional family offices have less than a 1% exposure to gold right now? Even with the current money printing madness and inflationary threats breathing down our necks?

It’s hard to see this staying under 1% for much longer. Precious metals have the smallest market share of savings and investment products they’ve ever had globally. The question will be, what price will those late to the party have to pay for entrance?

近いうちに、貴金属への配分についてのコメントを述べるのが楽しみだ。そのときまで、以下の1930年代のエクイティの類似系が続くだろう。デッドキャットバウンス?

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