さあ2020年10月の最終週がはじまった!
パイプを下ってくることを知りつつ、次の「刺激」策を待っている間、市場が水を踏んでいる新たな週のはじまり。そうでなかったとしても、MOAB(Mother of all bubbles)から空気をだしてやることは心配しなくていい。
2020年後半の米国大統領選挙が、メルボルンカップと同じ日、11月3日に開催されるというのは適切なように思えるし、 勝者を選ぶのは同じくらい難しいと感じる。
2020年という年は、Covidが「青信号」を示し、あらゆるすべての非伝統的な財政および金融政策が、通常政策として、 政治のあらゆる側面によって行われた。.
政治のあらゆる側面という意味は、現在政権を握るオーストラリアの保守党内閣までもが、「左派」である野党労働党が羨むほどの財政支出、赤字、債務政策をとったのだ。
そして現在アメリカでは、「最新」の財政刺激策は、(さらなる)数兆ドル規模で行われる予定が、わずか2000億ドルを超えるという論議で停滞している。
これはすべて、ポピュリストの「現代貨幣理論家」が深刻な勢いを増しているのと同様に起こっている。財政抑制の名残のあらゆる類似点を取り除くことが主な目的となっているようだ。今週、彼らの筆頭チアリーダーであるステファニー・ケルトン教授の話を(マクロボイス・ポッドキャストの出演を通して)聞いたあと、彼らの目的は達成するだろうと思った。彼女には非常に説得力がある。
このMMT論者たちによると、これまでにおこなわれた貨幣発行の問題点はその規模であり、さらに具体的には「規模」の欠如であるという!十分な貨幣の供給がないため「刺激」がたりないというように。あらゆる官僚にとってなんとも魅力的な提案である。
では、彼らが米連銀と欧州中央銀行の政策構築の回廊に入ると、可能だと思っていた以上に想像力が広げられる。政府は、重大影響を引き起こすことなく、どれほどの通貨発行が可能なのだろうか。我々はもうすぐ知ることになるだろう。これについては今後数週間にわたって見ていきたい。
前に述べたように、重要なのは米国で誰が勝つかということではなく、金融の見解から重要な点は、今のところ、米国債が現在の金融システムの「基盤」を占めているということである。
今のところ、世界のGDPに対して米国経済が占める割合について覚えていくことが大切だ。以下に示されている。
世界銀行の統計によると、米国は世界人口の4%を占めている一方、24.42%のGDPを占めている。
残念ながら、見るに耐えないが、米国における経済的およびイデオロギー的な社会的格差は、現在は和解には至らないように見える。
米国大統領選挙で誰が勝利するかという金融政策の結果は、投資家のポートフォリオにはほとんど関係ない。重要なのは、1944年のブレントンウッズ以来、我々が知る金融システムが、その最後のイニングにあるということを認識することである。
このことを、見るに耐え難く、和解に至らないように見える、米国の社会的・経済的な格差に加えると、心配を促す読み物になる。
投資家は、財政の安定を脅かす状況から自らを鍛えることを強く勧められる。 また、それに関連して世界の中央銀行が現状維持のために行う対応策から身を守るためにも。
重要なリスクを認識することは不可欠である。MMT論者によって「管理可能」として切り捨てられている重要なリスクのひとつは、インフレである。どこからきてどこに行くのかまで、インフレをコントロールできるという、前述のケルトン教授の自信は際立っている。ただ、過去に行われたことはない。
一部の中央銀行はインフレについての警告を出している。たとえばオーストラリア準備銀行(RBA)は、数週間前に以下のように述べている。「完全雇用に向けての進展がみられ、インフレが2〜3%の目標範囲内で維持できると確信できるまで、キャッシュレート目標を引き上げない」
では、金利がほぼ0%で、インフレがX+(なんにしろ彼らが掲げるように)、あるいはなんらかの生活費の上昇がみられるということ?3%+はOKなのだろうか?
どのように対応策を立てるというのだろうか?このような背景から、資産配分について真剣に考える時が来たといえる。
別のフェーズに移行したのだ。
特にニュージーランドとオーストラリアの慈悲深い中央銀行からの非常に一貫したメッセージは、我々は政府債務がいかに少ないかを心配すべきで、直ちに増やすべきだということだ。不安を感じている人のために、RBAは以下のチャートを今月初めのプレゼンテーションで使用した。我々は「追いつくために」まだまだやることがある。つまり、日本に追いつくためには、という意味である。
過去6ヶ月間をみて、何もせず、人々の銀行口座に直接お金を注入してもマイナス面はみられないということがわかった。MMTが非常に人気があるのも不思議ではない。
上記の全ての「背景」を踏まえても、金を所有している投資家がいかに少ないかというのは驚くべきである。まして、収益性が高く低コストの金産出会社はいうまでもない。
金が、何らかの形で、この金融システムの基盤に戻る可能性について今後数週間で触れることになるかもしれない。
いまのところ、我々が世界の金融システムの画期的な変化の玄関口に立っていることは、誰の目にも明らかだといっても過言ではないだろう。偉大なケインズ派実験は失敗している。既存の世界的な債務を返済するために必要な金銭的成長が、もはやシステム自体を満たす能力を超えている。別の言い方をすれば、世界の中央銀行は、現在、恒久的に、追加の法定通貨を継続的かつ迅速に作るということが、唯一、急激に増える債務という獣を養うことができるという流儀にある。
元IMFのマネージングディレクターで、欧州中央銀行の現プレジデントであるマダム・クリスティーン・オデット・ラガーデ女史は、これら全てのことについてなんというだろうか?