このコロナ禍の下で、経済の話をどう始めたらよいか困る。

実をいうと、この記事を公表するにあたり、金価格が落ち着くのを待っていたのだが、どうやらその前に配布をすることになってしまったようだ。

以下のチャートが示すように米ドルでの金価格は、このところすこし突破傾向に陥っているようだ。

誰も求めることがなく、役立たずな洗練されていない黄色い遺物を過小評価している投資家は、オーストラリアドルでの史上最高値は達成していないことについて胸をなでおろすべきだろう。

加えて、それらの「軽量級投資家」にとって、低コスト・高品質・無借金経営を実現しているオーストラリアの金鉱開発会社は、今日までのところ今週は下落傾向を見せているということは知る価値があるだろう。以下のチャートを見てみよう。

前回の金融危機以降金株に投資している者であれば、なぜ金株投資家が常に売りボタンを押す準備があるのか容易に理解できるだろう。

しかし、この過去2週間で最大のニュース(そう、コロナとトランプも含めて、だ)は、長く葬られていたウォールストリートの的である金や銀といった貴金属が(昨晩の暴落までは)ほぼステイタスを復活するのではないかという話題だった。

まったく、興は続いているときは楽しい。

国際投資家にとって重要な問題は、「なぜ」貴金属がまるで急な 無作法な 動きを見せたのかということであるべきだろう。

残念ながら、この「コロナ」+「最大限の借金(成長皆無)」+「無担保デリバティブ」がどんなものであるのかを示すことのできる経済評論家はほぼいない。

おそらく読者の方は察しているかとは思うが、我々は経済の大きなサイクルの終わりに対面している。どんないかなるものも、中央銀行があらゆる手段を使って別の結果を期待しつつ現状維持を試みることを阻止することはできない。

マイナス金利を含むこれらの最後の方策。おそらくこれが最後の砦、「いかなる手段をつかっても」という米連邦中央銀行パウエル総裁の公約が、先週の貴金属価格の陽の目となったのだろうか。 

真実は知る由もない。ヨーロッパと日本ではすでに何年も行われていることだ。

2009年のポールソンTARP(Troubled Asset Relief Program - 不良資産救済プログラム)以来ひどい目にあっているように、貴金属が上昇しているのは「他の何かが起こっている」からという理論を優先しないようにするべきだろう。

問題を抱える資産を差し出したが、まだ反応はない。 

現実は、過去1000年間(あるいはそれ以上かもしれない)で初めて、マイナス金利が中央銀行の方策手段として認められ、マネーを返還する一種保険のようにみなされ、「資本収益率」については気にせず、それより資本の回収というわけだ。

読者の方の頭の中のスペースが足りなくなりそうなので、名高いマイク・グリーン(ロジカル・キャピタル社)が米国10年債の債券利回りマイナスを「THE END GAME」とよんでいることについては別の機会にしよう。 

とりあえず、前述の世界的マイナス金利政策のシナリオにインフレ(購買力の低下)の見込みを加えておいてほしい。インフレについては今までに何度も取り上げているので、ご希望であれば過去の記事を参照できる。

金価格やその他の商品の上昇が、何らかの実質インフレを示唆するとしたら、世界の中央司令官たちは解決できない問題を抱え、残っている手段はなく、状況が悪化するであろうというのは、十分に足るだろう。

「解決できない」ということに触れたところで、貴金属投資家を恐れさせているかもしれない将来を一見する図をご紹介しておこう。

以下のユーモアの試みについて示したい唯一の政治的声明は:

議論されない明白な、蔓延する大きすぎて潰せないゆえの救済のもたらすものと、途方もなく急速に大きくなっている富の格差をもたらしている中央銀行の方策、それらが大きな問題である。世界的に、そして政治の両サイドにおいて。

今のところ、最も精力的で意欲的なPC戦士の多くはこれが理解できない。平和的解決策への期待は現実的ではなさそうだ。

覚えておいてほしい。金価格は上昇していない、紙幣の購買力が下がっているのだ。

ではまた。